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特養入所事例 特別養護老人ホームで暮らす認知症姉妹

特養で暮らす仲の良い老姉妹 えっちゃんのブログ
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石田よ志さん(99歳:仮名)と坂田た津さん(97歳:仮名)は、特別養護老人ホームで暮らす仲の良い姉妹です。
よ志さんは、32歳の時、10歳年上の教員である男性のもとへ嫁ぎました。
嫁ぎ先には義父母と前妻との間に3人の子供がおり、よ志さんは、結婚と同時に3人の母親になりました。

よ志さんは、特別養護老人ホームへ入所当時、昔を振り返り、こう言いました。
「32歳にもなったら嫁の貰い手もないからね・・・親が決めてきた嫁ぎ先へ嫁に行っただけ!
でも、私は女中だったのよ!義父母は病弱で、孫の世話をすることが出来ず、家事を担う嫁と子供の世話をする女が欲しかっただけだから・・・。

嫁いだが女中のような扱いだった

義父母は病弱で、二人とも私が最後まで面倒を看たし、夫も最後まで看取ったしね!
子供たちは学校を卒業したら皆独立して、夫の死後、家には帰ってこなくなったわ!
義父母と夫に仕え、一生懸命子供たちの世話をしても誰一人として会いに来てくれないから・・・淋しいもんだわ・・・」と。

一方、た津さんは、尋常小学校を卒業後、旧国鉄に定年まで勤務していました。
幼いころ、煮えたぎったみそ汁で火傷をして、顔から首にかけて火傷の跡が残っています。
それが原因で自分に自信が持てずに成長したと言います。
結婚を考えたこともなかったというた津さんは、28歳の時に親が決めた男性に嫁ぎますが、一週間で逃げ帰ったと言います。
その後、た津さんは、旧国鉄で切符切りをしながら定年まで勤めあげました。

旧国鉄で定年まで勤め上げた

よ志さんの夫が亡くなり、よ志さんの家にた津さんが移り住み、姉妹二人の生活が始まりました。
よ志さんは、教員だった夫の遺族年金が、た津さんも厚生年金があり、二人で生活するには十分な収入がありました。
二人で自由気ままな生活・・・二人で四国のお遍路さん巡りをしたり、小さな畑で野菜作りをしたり・・・よ志さんは人生で一番幸せな時間だと言います。

そんな二人が、80歳を迎えるころ、た津さんに認知症の症状が出現します。
よ志さんとた津さんを心配する声が地域住民から出始め、民生委員から市役所の高齢福祉課へ連絡が入ります。
遠方に暮らす姪(長兄の娘)が見つかり、姪が身元引受人となり二人は老人保健施設へ入所となり、同時に特別養護老人ホームへの入所申請を行いました。
認知症はた津さんだけでなく、よ志さんも金銭管理が出来なくなっていました。
二人の収入は、ふたり併せて50万円近くあったのですが、た津さんの通帳は手付かずで2,000万円近くが残っており、反対によ志さんの通帳は数万円が残されている状態でした。

通帳の残高がわからなくなってきた

そんな二人が入所してきたのはよ志さん90歳、た津さん88歳の時です。
認知症は進行していましたが、お互いが姉妹であることは認識でき、た津さんは、よ志さんの姿が見えないと施設内を探し回ります。
お互いにお互いを必要とし、二人が一緒にいることで認知症による周辺症状も少なく収まっているようでした。

そんな二人も98歳を過ぎた頃から食事摂取量が減ってきました。
た津さんは、98歳のお誕生日を過ぎた頃から、経口摂取が困難になり、医師から看取りの説明がありました。
よ志さんは、「た津さんは、私が看取ってやらんとな・・・私の可愛い妹やでな・・・」と言って、た津さんの側を離れません。
た津さんは、医師の説明があってから10日後に息を引き取りました。

た津さんがなくなられる瞬間まで、よ志さんは側を離れようとしませんでした。
よ志さんは、言いました。
「これで私は死ねるな・・・た津を残して逝くわけにはいかんかったでな・・・」
「義父母と実父母と夫とた津と・・・みんな私が看取ってきたんだわ・・・」
「大変なことじゃない・・・それが私の定め・・・生まれ持ったそなわりってことだわ・・・」

家族全員を送った

その一か月後、よ志さんもた津さんの後を追うように100歳で亡くなられました。
よ志さんの表情は安らかで、心から安堵したという優しさにあふれていました。

2006年の介護報酬改定の際に、看取り加算が加えられました。
人生の最期までその人らしい暮らしができるようにと、改定の1つとして看取り介護加算が加えられました。
私が施設で看取りを行った数は100名を越えます。
看取りの本質は、医療行為(延命的処置)をすべきとか、どこまで望むかではなく、人生の終焉を「どこで」「だれと」「どのように」迎えるかであると考えます。
入所時のお元気な状況の中では、看取りについて考えることは困難なことではありますが、その場その場での判断でご家族の意思確認を行いながら、様々な場面で、ご家族の方々の考え方を尊重し援助を行って行くと良いと考えます。

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